「子供が欲しい」と思うように仕向けられているのでは?
あなたは、本当に子供が欲しくて子供を産んだのか、不妊治療までしても本当に子供が欲しいのか?
考えてみたことはありますか?
私は、2人、子供を産んで育てた。子供が欲しいと思ったのは本当だ。
でも、その「子供が欲しい」は、実は自分の本当の希望ではなかったと最近になって気づいた。
私は、子供の面倒を見るより、仕事の方が好きだし、断然、仕事の方が向いていた。
それなのに、仕事を辞め、子育てに専念せざるを得なくなったことで、うつ病を発症した。
経済的、体力的、精神的など、様々な負担を考えれば、子供を持ちたくないと考える人がいてもおかしくないはずだ。
しかし、女性とみれば、「結婚しないの?」「子供欲しくないの?」と聞かれたり、
テレビでは、幸せな場面のみがクローズアップされて映し出される家族の姿を毎日のように見せらる。
そうして、結婚すれば、子供がいれば、「幸せになれる」と無意識のうちに思い込まされてきたことで、「子供が欲しい」と勘違いしてしまった。
わたしが、今一番、気になっているCMがこれだ。
【大東建託 企業CM】『家族はつながる。つながってゆく。親子篇』
このCMを見れば、親はありがたいものと感じるだろうし、結婚して子供を持ちたいとも思うだろう。
動画が削除されてしまったようなので、CMの内容を書いておく。
妻と赤ちゃんと共に実家に帰っている息子が、ダイニングで父親母親と話すシーン
息子:(妻の姿をバックに)子育て大変だった?
父親:(笑顔で)大変だったのはかあさん
母親:(誇らしげな微笑みを浮かべて)大変じゃない、必死だった
赤ちゃんが眠っているベッドの手すりに寄りかかり、赤ちゃんの姿を眺める夫と、少し後ろにいる妻が映され、夫がしみじみと「頑張らなきゃな」的なことをいうシーン
子どもを育てた自分を誇らしく思うのが悪いということではなく、CMにしてテレビで流すことで、そう感じるのが良いこと、普通なことという錯覚を与えることが問題なのだ。
そう感じられない母親である自分を責めたり、やっぱりそれが普通だと勘違いして、それに比べて自分の妻は母親は……と感じる人が悩んだり、妻や母親を責めたり怨んだりなどのような悪影響は避けられないだろう
しかし、現実はそんなに甘いものではない。
昔「一家の大黒柱」と言われ、未だに主な稼ぎ手とされている男性の労働環境は、年功序列賃金や終身雇用制度がなくなりつつある一方、相変わらず子供を持った女性はまともな職に就けず、低賃金の非正規雇用に甘んじるしかない。
子どもの環境はと言えば、未だに続く画一的な集団教育の中で、「スクールカースト」なるものまで出来上がり、いじめが日常茶飯事となっている。
大学進学も経済的な負担は本当に厳しい。
蓮舫議員が、コロナの影響で大学を辞めざるを得なくなる学生について、「高卒になってしまう」と表現して叩かれたが、高卒と大卒の賃金の差は歴然と存在する。
高い賃金や希望の職業に就くために、「奨学金」という借金を背負わされてまで大学に行くのは本当に大変なことだ。
そんな日本の現状で、家庭を持ち子どもを育てることを、ほんわかとしたエピソードにくるんで理想化することは、本当にやめてもらいたいと思う。
社会からの結婚や子供を持つことに関する圧力がなければ、子供は持たなくてもいい、または、持ちたくないと考える人はたくさんいるのではないかと思う。
子供が可愛いのは疑う余地はない。乳幼児は「可愛い」と思ってもらうことで育ててもらい生命を維持していかなくてはならないからだ。
しかし、働いていてもまともな暮らしをすることさえ難しい社会で、子供を持つことの負担は、相当に大きい。
その事実を無視して、結婚や出産を、「幸せ」になるために必要で当たり前なこととし、「結婚したい」「子供が欲しい」と思い込ませる情報を、マスコミが流し続けるのは、あまりにも無責任なのではないか?
本当の自分の希望がわからなくなるほどに、「結婚し子供がいるのが幸せな人生」という世間からの刷り込みは、結局、人を不幸にしているし、生まれてきた子供をも不幸にしていると思う。
その証拠に、社会全体で経済的な困窮が目立ってくると同時期に、死亡に至るほどの児童虐待が目立つようになってきた。
現実的には不可能な、世間から示された「幸せ家族」を目指すことにこだわり続けた結果ではないかと思う。
どうかこれ以上、不幸な人や子供を増やさないためにも、ある特定の人が決めた「あるべき姿」をマスコミで流すのをやめてもらえないだろうか?
本当の自分の希望が、世の中から押し付けられた価値観にかき消されてしまうのは、本当に不幸なことだ。