ジェンダー平等は家庭から

うつ病になるほど苦痛だった主婦生活で見えた理不尽なジェンダー差別の実体験を綴ります

家庭内の家事は仕事ではなく専業主婦は職業ではない

家事は、人が生きていくためにやらなくてはならない、最低限の営みで、男だからやらなくていいというものではない。

 

それなのに、なぜ女だけがやらなくてはならないことになっているのか?

 

男は、女に自分の世話をさせるために、仕事を奪い、経済力を奪い、自尊心まで奪う。

 

自尊心を奪われた女は、男に言われたまま、男に従う。

 

DVは、その究極の例だ。

 

しかし、完全に自尊心をなくしてしまった妻は、それ程はいない。

 

自尊心を捨て切れないから、家事を自分だけが背負わされていることに不満を抱き、経済力を奪われていることに不安を抱く。

 

昔、知り合いの市議会議員に、男女共同参画社会基本条例のことで要望した時、「専業主婦になりたい人もいる」と言われた。

 

確かに、専業主婦を志望している若い女性がいると聞いたことがある。

 

働かなくても生活できるならという打算的で表面的な利益を考えれば、そう考えるのも無理はない。また、子どもを育てながら仕事も持てるような社会にもなっていない。

 

しかし、長い間には、疑問や不満を抱くようになる。または、子ども以外に生きがいがなくなり、過干渉になったり、子供に依存状態になったり、独立した途端に見捨てられた気持ちになってうつになったりする。

 

それに、自分の人生や生活を、ひとりの人に全面的に委ねるなど、こんなに危険なことはない。例えどんなに信頼できる人だとしても、病気や事故で働けなくなったり、亡くなることもあるからだ。

 

それでは、妻も子どもも不幸だ。

 

昔は専業主婦を職業欄に書く習慣があったらしいが、専業主婦は職業などではない。

 

だいたい、賃金が支払われない職業があるはずがない。

 

賃金が支払われないなら職業でもないし、やらなければならない理由もない。

 

会社員なら、病気で長期に休むことになれば、傷病手当というものが支給されるが、妻は病気になってもなんの保障もない。夫の「優しさ」とか「誠意」だけが頼りだ。そんなあてにならないものはない。

 

あてにならないものをあてにするしかないから、不安や不満がどんどんとこころの中に溜まっていく。

 

男が優遇される男社会で仕方なく選択している、なんの社会的権利も社会的保障もない「専業主婦」は、家事や育児が原因で病気になっても、労災認定もされない上に、離婚される例もある。

 

だいたい男は、家にいて大したこともしてないんだから、家事だの育児だので病気になるはずがないとしか考えていない。だから、保障の制度もない。

 

病気になっても保障もない上に、病気の妻は離婚されても仕方ないという世の中で、専業主婦をやらざるを得ない状況は、実に不平等で不当だ。

 

専業主婦は職業などではないし、家庭内の家事は仕事ではない。家事は生きていくために最低限必要な営みであり、男だからやらなくていいというものではない。

 

女性が人として当たり前の権利を確保するためには、男性も家事と育児をする必要がある。

 

家事や育児を女性ひとりに背負わせることは、女性の権利や自尊心を奪うことだとすべての人に自覚してもらいたい。